未来軍部11

□sense of family
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「?」
 エネルの母親は、首をかしげたが、エドワードがそのまま食べるのを止めてしまったので、何かいけないことでも聞いたのか、と心配になってしまった。
「御馳走さん。ちょっと、寝る」
「そうかい?」
 エドワードが、体を横たえたので、エネルの母親もそっと退室した。

 オヤジの顔を思い出しちまった。胸糞わりーぜ。


「アリッサ。おまえは、もう戻れ」
「いいじゃないの。ちょっと付いてくだけよ」
「ったく」
 エネルも、そんなに危険はないだろう、と判断して、しぶしぶアリッサの同行を許した。
 
「うわ、真っ暗」
 エネルが、懐中電灯をかざして、前に進む。真っ暗な場所に、一瞬キラリ、キラリ、と光るものを見つける。
「なんだ?」
「小さな、石のかけら見たい。宝石?」
 明かりの下で見てみると、それは赤い色をしている。
 エネルが、眉をひそめ、それをじっとみつめるので、アリッサが首をかしげる。
「どうしたの?」
 そのとき、がさ、と洞窟の奥で、音がして、エネルはとっさにアリッサの前に出た。
「誰だ!」
 エネルの声が響くと、きらり、と何かが光ったため、エネルはとっさにアリッサを抱きかかえて、伏せた。
 キン、と弾が岩に跳ね返る音がすると、エネルは振り向きもせず、そのままアリッサを抱きかかえて、外へ飛び出した。
「あんちゃん!」
「アリッサ、いいか!?この赤い石を持って、家に逃げろ!いいな!?」
「どういうこと!?」
「いいから、言うことを聞け!そして、石をエドに見せるんだ!いいな!?わかったら行け!」
 アリッサに背をむけて、エネルは、洞窟から出てきた男と対峙した。
「あんちゃん!」
「いいから、行け!」
 男が、アリッサにむけて発砲したが。アリッサはどうにか逃げ、エネルが発砲すると、男は腕に傷を負いつつも、走って行った。
「待ちやがれ!」
 男が、森のほうへ逃げていくので、エネルがおいかける。時折、発砲をするのだが、うまく木で交わされていく。
「ちっくしょー!」
 錬金術でも使えれば!
 そう思った矢先、ドン、と横から飛び出してきた男にぶつかって、エネルは尻もちをついた。
「っ!」
 とっさに、その飛び出してきた男に、銃を向けたが、男は「いててて」と間抜けな声を出して、苦笑していた。
 金髪をひとつにくくり、さらに顎を覆う金の髭。
「…あんた、まさか…」
「君は軍人だね」
「東方司令部ジョリー・エネル大尉。あんたは…」
「はは、そのまさかだよ」
 男は、目を細めて笑ったのだった。


「う…」
 苦しい。というよりも、気分が悪い。
 なんだ、胸糞わりーな!
お前の顔なんざ、みたくねーぜ!
赤い石も、いらない!なんで、貴様が持ってんだ、バカだろ、てめー!
「こんの、クソオヤジ!!」
 叫びながらおきあがったエドワードに、そばにいたエネルとアリッサ、そして男は目を見開いた。
 エネルは、はは、と笑っている。
「エドさん、大丈夫?うなされてたけど」
「アリッサか…。大丈夫。ちょっと夢見が悪くて」
 頭をぼさぼさにかき混ぜながら、顔をあげた視線の先に、
「ぎゃあああ!!」
 夢でも見たくない男の顔があって、エドワードは素っ頓狂な声をあげてしまった。
「なななななん…!なんでっ!テメーが!!」
「はは、ひどいな、エドワード。父親に久しぶりに会ったのに」
「えーっ!このおじさま、エドさんのお父さん!?素敵!」
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