未来軍部11

□蒼い風
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3day
「大腿骨の長さから、身長185センチはあるかと。B地点辺りですと、モーガン隊アモス・マクドナルド軍曹かと」
 下半身だけの遺体を目の前に、エドワードは足首に何か巻きつけてあることに気がつく。
 小さな袋に、紐がくくりつけてある。
「彼には、恋人が?」
 中には、小さな写真と紙が入っていた。
『愛してるアニス。幸せに』
 写真はおそらく、本人と恋人の女性だろう。
 身元を判明するために、体につけていたのか、恋人を思うために身につけていたのか。
「アニス…」
 士官の一人が、はっとして
「昨日収容した、上半身の遺体にも、同じような紙と写真が。顔は、判明不可能でしたが…」
 その軍服のジャケットから取り出した遺留品と比較すると、同じ人物の写真だった。
「じゃあ、マクドナルド軍曹で間違いないな」
「はい。一緒にします」
「ああ。家族に連絡と遺留品をすべて、こっちに」
「はい」
 集められた遺留品。
その品々を見るたびに、あるだけマシだと思うが、でも本当は本人が帰ってくることを望んでいるに違いないのだ。
 エドワードは、溜息をついて、
「次は、カルロ・マーソン曹長。左腕が損傷しております」
 そして、心臓を撃ち抜かれている。
 ここでは、比較的、“綺麗”な体をしていた。

 士官たちは、全員、祈り方を知っているようで、どこかの宗教に基づいたやりかたで冥福を祈っている。
 
 自分は、ただ、不器用に目を閉じて頭を下げるだけだった。
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