未来軍部11

□アルフォンス・エルリック中佐の入室を禁ずる!
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今朝、兄さんを怒らせた。
ベッドでまどろみを彷徨っていた兄さんの身体を、撫でまわしていたら、「いい加減にしろー!」と大激怒。
 そこまで怒られるのは、あまりにも――しつこかったから。
「ヤぁ、アル…」なんてセリフは、本気じゃない嫌がり方と思って、調子に乗っていたのがいけなかった。
 機嫌を損ねて、朝食も食べずさっさと、先に司令部に行ってしまった兄をおいかけたが、司令官執務室には『I forbid admission of the Lieutenant Colonel Alphonse Elric!』の張り紙。
 ノックして、許しをこうつもりが、すぐに憲兵組織との会議で、東方の端に位置する街まで出張で、すぐにでも行かねばならない。帰りは夜になるだろう…。

「はぁ」
「どうした?」
 共にいた、出張のお供でもあるエネルに、溜息を聞かれた。
「いえ、なんでもありません…」
 言えるわけないよね。
「エドと喧嘩でもしたか」
 にしし、と茶化されて、思わず赤面してしまった。
「喧嘩、というより、怒らせた、という方が正しいかと」
「しつこい男は嫌われるぜ〜」
「知ってるんですか!?」
「お、ビンゴ?」
 つまり…
「当てずっぽうですか…」
 またも、にしし、と笑われた。
「それで?」
「大したことじゃないです…」
「その割に、『!アルフォンス・エルリック中佐の入室を禁ずる!』だったじゃん」
「ま、しつこかったからですけどね」
「ふうん…。相変わらずだなぁおまえら」
「どうせ、子供じみてますよ」
「まあ、そうなんだけど、そればっかじゃなくてさ。エドには甘いっつーか」
「甘い?…あんまり意識してませんけど…。甘えてる、の間違いじゃなく?」
 くくく、と笑っただけでエネルは何も答えなかった。

 汽車は、目的の駅まで連れてきてくれて、二人はそこから徒歩で向かう。小さな町なので、軍人の姿は目立ったが、憲兵が数人出迎えてくれて、二人は会議の行われるホテルの会議場へと入ったのだった。
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