小林、

□依存
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「お前、何で学校来ないの?」

「あたしの勝手でしょ」

突然家に押し掛けて来た小林は、そんなことを言った。



「お前さ、これ以上休むと卒業できないぞ。出席日数が足りねぇんだって」

「その時は学校辞めるから」


ふと、小林が私の手を取った。

「お前の手、冷たいな」

「何それ、ほっといてよ」

悪態をついたけど、手を離す気配が無い。


「離してよ」

「嫌だ」

「離せって言ってんじゃん」

「俺の体温と同じになるまで離さねぇ」


「…馬鹿、勝手にして」

すると小林は、にっこり笑ってあたしの手を包み込んだ。


あぁ、温かい。

久しぶりに感じた、人の温もり。

こんなに心地良いものだったっけ。


「…小林」

「何?」

「毎朝迎えに来てくれたら、学校行く」

「マジか、じゃあ迎えに来る」


どうしてこいつはこんなに馬鹿なんだろう。

どうしてこいつはこんなに心地良いんだろう。


どうしてあたしはこいつに依存してるんだろう。


「小林、」

「ん?」


名前を呼ぶだけで嬉しそうにする小林。

あたしはこいつを。



「絶対、迎えに来てね」

「当たり前だろ」


小林、あんたが好きだ。




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