小林、

□友情と恋
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放課後、廊下を歩く。

迎えに行くために、小林の教室まで向かう。

小林が迎えに来るようになってからは、毎日登校している。


「藍」

後ろから声がする。


「藍、待って」

振り向くと、桜が走ってきた。


「ごめん」

苦しそうに肩で息をする桜に詫びる。

いいの、と桜は笑った。

「それで、何か用?」

「藍、小林君のことが好きなの?」

桜が真剣な眼差しで、あたしに問う。


あぁ、ついにバレてしまった。

否定しないのね、と桜は悲しげに呟いた。

ごめん、そう告げるとあたしは再び歩き出す。


一瞬、ほんの僅かだけど、桜が泣いてるのが見えた。

ごめん、桜。

でも嘘は吐きたくない。


あんたが小林を好きなのは知ってた。

でも、それ以前からあたしは小林が好きだったんだ。

あんたが小林を好きだと知った日は、ショックだった。


胸が苦しい。

なんだか、もやもやする。



あたしが好きなのは、小林。

桜が好きなのは、小林。

小林が好きなのは、誰?



抜け駆けして、告白なんて出来ない。

でも、小林のことが好きだ。



小林はどうなんだろう。

好きな人はいるのだろうか。




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