小林、
□誕生日
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「なぁ」
後ろから小林の声が聞こえる。
「藍」
あたしを呼んでいるらしい。
「何?」
振り返ると、小さな箱を持った小林が居た。
「これ」
「…?」
「今日はお前の誕生日だろ」
だから、やるよ。
ぶっきらぼうに渡してくる小林。
ピンクのリボンに包まれた、手のひらサイズの箱。
小林はあたしの誕生日、覚えててくれたんだ。
「あけていい?」
「家帰ってから、あけてくれ」
照れくさそうに言う、小林。
あたしは素直にそのプレゼントを家であけることにした。
帰り道、ずっと小林は黙ったままだった。
話しかけるが、生返事しか返ってこないのでやめた。
少し、寂しかった。