望郷歌/4.5(オウス×サダル)
「前から疑問に思っていたのだけれど」
舞の稽古を終えたオウスが何の脈絡もなく口を開いた。
「サダルは、どうしてサダルなんだろうね」
サダルは首を傾げた。オウスの質問の意図がまるで分からない。何が言いたいのか…
「オウス、それはどういう…」
「いや、深く考えなくていいよ。何となく思っただけだから」
初めて会った時から思っていたが、どちらかというとサダルとサルメは名前と印象が真逆な気がする。サルタヒコの異名で「先導する者」という意味があるサダルの名前は、旅の途中の戦いで我先に敵に向かう好戦的なサルメの方が似合っているし、一方、アメノウズメの異名であるサルメの名前は舞の時のサダルが醸し出す妖艶さにぴったりだ。
だが二人は与えられた名の通りの部分も持ち合わせている。サダルはいつもオウスとサルメの前に立ち、黙々と役目を果たす。そしてサルメの華やかな雰囲気は長い旅を三人で楽しく過ごそうという気持ちにさせてくれる。深く関われば関わる程、二人は多彩な色を放つ。それが魅力なのかもしれない。
「やっぱり、サダルはサダルのままがいい」
頭の上に疑問符が浮かんでいるサダルを見て、オウスは笑った。
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