果実(CP小説)♂×♂限定

羊は知らない、狼の独占欲を。
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十団に帰ってきたカルパッチョは中に入ると、
目の前の光景に深く眉を寄せた。
イスに座り、マルコとなにやら楽しそうに
会話をしているアレッシオがいたからだ。
不機嫌にさせたのは、マルコの明らかな秋波が
アレッシオに向けられているということだ。
自分の特技である料理を、思いの存分にふるって
アレッシオの気を引こうとしているのだろう。
そうとも知らず、アレッシオはごく自然に笑顔で、
マルコの作ったデザートを褒めているようだった。

――まだ、こりてねえってことか。

ぐつぐつと不快な感情が、
体の奥から煮えてしかたない。
どうしてやろうかとマルコを睨むと視線に気付いたのか、
フッと妙に不敵な笑みを返してきた。
マルコのほうを向いていたアレッシオは、
今気付いたというふうに玄関のほうに振り返った。
「……なに、そんな怖い顔してんだ、お前」
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