果実(CP小説)♂×♂限定

いちごの甘さも忘れるほど
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一週間の外回りからロベルト十団から帰ってきたカルパッチョは、基地の外でアレッシオを見つけた。
後ろから勢いよく抱きつこうと近寄ったが、十メートルもないところで足を止める。

――よく考えてみりゃ、なんでこいつ、外にいるんだべ?

ふと見てみれば、アレッシオはロベルトの花壇に、じょうろで水をあげていた。
気分転換にとロベルトが自分で種を蒔き、手入れしている花々だ。
それをアレッシオは世話している。
あやしいと思ったカルパッチョはすぐさま顔をあげ、花壇の主本人が二階の窓から、いつもの涼やかな目で見ているのに気付いた。
ロベルトもカルパッチョに少し顔を向けて、微笑した。
「へえ、もう一週間たったんだね」
「さすがに肩がこっちまったべ」
カルパッチョは大げさに肩を落して、金髪を掻いた。
ロベルトはいつものように、才の数を数えなおすとにっこりと意味深な笑みをむけた。

――いっつも何考えてるかわからねえべ。

いろいろと疲れていたカルパッチョは、少し冷静になり、アレッシオの服装がいつもと違うことに気付いた。
立っているだけで汗が流れるほど熱いなか、いつもアレッシオは赤のワイシャツのうえにマントなどを着込んでいる。
カルパッチョの、ワインレッドに近い色の半袖と白地に黒ボーダーの半ズボンのようなラフさは一切ない。
ところが、今のアレッシオは白のワイシャツと、同じ色のズボンと珍しく薄着だ。
「……おめえ、なんでそんな格好してんだ」
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