果実(CP小説)♂×♂限定

どっきりハニー☆ びっくりプレゼント
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外にはしんしんと雪が降り、
空は海の底のように暗い。
アレッシオは窓から目をはなし、基地の中、クリスマスツリーや
緑や赤で飾られた談話室を見回した。
今日はロベルト主催のクリスマスパーティーだ。
十団の仲間達は、丸く大きなテーブルにところせましと
並べられたマルコの料理に食べながら、おしゃべりに花をさかせている。
主催のロベルトはいつになく上機嫌で、
イスに腰掛けて自然な笑みをこぼしていた。
まわりのメンバーが年に一度っきりのこの日を楽しんでいるなか、
アレッシオは表情を曇らせていた。
原因は、カルパッチョだ。
ささいなことで口げんかすることが多く、
今回に限ってはいかんせん彼に非があるのに、謝ってこない。
――なに隠してんだ、あいつ。
アレッシオは近くのテーブルにあったグラスを手に取り、
やけになって中身のりんごジュースを一気にあおった。
心の中に疑いの蜘蛛の巣ができていく。
ここ一週間とカルパッチョの言動は怪しく、
明らかに何かを隠しているのをアレッシオは察していた。
それを問い詰めて、その結果が今に至る。
――俺は悪くない。……早く悪かったとか俺に言え!
むっとして張本人を睨む。
相手はちらりと目を合わせると、
面倒そうに目をそらして頭をかいた。
その態度にますますアレッシオは
いらだちを募らせていく。
アレッシオは、気分を晴らすためにショートケーキを皿にとると、
勢いよく頬張った。
さすがに周りのメンバーもアレッシオの様子のおかしさに
感づいたのか、珍しい物をみるように釘付けになっている。
だが、声をかけようにも
怒りのオーラーを放っているアレッシオに近寄る勇気はなく
ただ見守るほかない。
そんな仲間の心配している様子にも気づかず、
アレッシオは今度は小さなデザートを皿に盛り始める。
――腹が立つ、俺……あんな目されることしたか?……いつも、俺がいやがってるからか?……まさか……まさかな。
アレッシオの心には、もう疑いの蜘蛛の巣は消えていた。
かわりに切なくてもろい感情の波がわき起こる。
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