ビル†

□約束事★
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アリスの些細な異変に最初に気付いたのは本人ではなく、ビルだった。
静かに歩み寄り、声を掛けた。

「アリス。ちょっとよろしいですか??」

「え??」

と言って顔を上げたアリスの額にすっ、と手を伸ばした。

「どうしたの?」

きょとんとしながらアリスが尋ねた。

「少し熱がありますね。横になった方がいいですよ」

「え?!熱?!…あるかなぁ?大丈夫だよ♪」

と、自らの額に手をあてる。
ビルはにっこりと微笑みながら一言。

「アリス?私を誰だと思っております?」

アリスはピシリ、と固まって、

「横にならせていただきます…」

しおしおと、寝室に向かった。
案の定、アリスの熱は夜になるにつれ、上がっていった。

「やはり、上がってきてしまいましたね」

冷やしタオルを代えながらビルが心配そうに覗きこむ。

「…ごめ…んなさい」

熱で辛そうにしながら、謝るアリス。

「謝る必要はありませんよ。早く良くなって下さい」

「お願いが…ある…の。熱を出すと…嫌な…夢を見るから…そばに…いて?」

熱で潤んだ瞳に、熱で上気した頬をしたアリスに見つめられ、ビルは内心

(…これは何かの罰ゲームか拷問でしょうか…)

と、うめき声を上げながらも、アリスには笑顔で、

「アリス、貴女が望むなら。」

翌朝、ビルの調合した薬と彼の看病のおかげでアリスはすっかり元気になった。

「ビルありがとう!お陰様ですっかり良くなりました!」

深々と頭を下げてお礼を言うアリスにビルが微笑みを浮かべながら、


「お礼は結構ですよ。その代わりに1つ約束をして下さい。今後、具合が悪くなったらすぐに私の所に来る事。」

アリスはきょとんとして首を傾げながら、

「家で療養するよ?」

ビルは笑顔を浮かべて、核心をついた。

「猫に薬が作れますか?」

「…迷わずビルの所に参ります」

右手を挙げて宣誓をするようなポーズでアリスが言った。

「結構です」

にっこりと微笑みながらビルは頷いた。

(あのようなアリスを猫と一緒に居させておくわけにはいきませんからね)



*fin*
不純な動機を正当な理由で隠すのがビル、という事で(笑)
最後まで読んで下さって感謝です☆★


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