女王様†

□落とし物★
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ウミガメモドキは首を傾げていた。

(最近、あちこちに毛糸の玉が転がっていますね…一体どこから??)

お茶の準備を整えて女王の部屋へと向かう。
最近は寒くなってきたから、ベランダでお茶をする事がなくなっていた。

女王の部屋の扉をノックする。

「陛下。お茶のご用意をお持ち致しました。」

何故かバタバタ、と動く気配があってから、女王の声がした。

「お、お入りなさい」

扉を開けると、部屋にしつらえたテーブルに腰掛けた女王は不自然に髪を整えていた。
ウミガメモドキはお茶の用意をしながら、ここ数日の疑問をぶつけてみた。

「陛下、何か隠し事をしておりませんか??」

女王はビクリ、と肩を震わせながら、上擦った声で返事をした。

「な、何を突然?!べ、別にないわよ!?」


ガチャガチャと音をたてながらティーカップを持ち上げた。

「…」

ウミガメモドキは、ふ、と思案して

「では、例の拾い物は親方に返すとしますか」

その言葉に、女王は凄い勢いで反応した。

「お前が持っていたのね?!」

ウミガメモドキは、しれっとして

「おや、何をです?」

女王は、しまった、という表情で言葉に詰まりながら、苦々しく

「な、生意気な口をきくようになったわね…!」

ウミガメモドキはわざとらしく溜め息をつきながら

「隠し事をされるなんて寂しいじゃないですか」


以前の女王にだったら、とても言えなかった言葉も、最近の女王にだったら言える言葉。
それが何より嬉しい。


「冗談ですよ。誰にも話しませんから、私にだけは教えてくれませんか?
何か手伝える事があるかもしれませんよ。あの固まりは何に使うのですか?」


女王は首を傾げているウミガメモドキを、じとっと睨みつけながら躊躇って、なかなか口を開かなかったが、とうとうボソリ、と

「…マ、マフラーですわっ…!」

そして真っ赤になってプイ、と顔を背けた。

ウミガメモドキは、“誰の”等という野暮な事は聞かなかった。

“誰か”の為に“何かを”作るようになった事が何よりも嬉しかったから。


「これから、ますます寒くなりますからね」

嬉しい気持ちを表情には出さず、なんでもないフリをしてウミガメモドキは日常の会話に戻った。

「夕食はいかが致しますか?陛下」

「ビーフストロガノフ。それにバケット。サラダも忘れない事。デザートは任せるわ。
あと紅茶のおかわりをさっさとお注ぎなさい!!」


まだ赤い頬のまま、女王は早口でまくしたて、ウミガメモドキは、いつもの勢いを取り戻してきた女王にクビを引っ込めつつ、素直に従ったのだった。

それは北風が吹き始めた頃のお話†



*fin*
王宮料理というものが分からないのですよね。何せ和食メインな生活なもので↓

調べてみたらきっと面白いのでしょう♪
ダラダラなお話で
すみませんっ(>_<)

最後まで読んで下さって感謝です☆★


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