女王様†
□理由★
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冬の寒さも和らぎ、外でお茶をするのが心地好くなってきたある日の昼下がり。
「女王様って、イメージフラワー薔薇って感じ♪色はピンクね」
ニコニコと告げた。
「そうかしら?」
女王は首を傾げた。
「うん!」
力強く頷くアリス。
その姿に、女王は、ふっ、と既視感を覚えた。
穏やかな表情を浮かべながら、庭園に目を向けて紅茶を飲むアリスを、こっそりと盗み見をしながら、考え込むと、脳裏に幼いアリスが浮かんだ―
『アリスは何を描いているの?』
テーブルに画用紙を広げて、アリスは何かを一生懸命に描いていた。
『見ちゃダメっ!』
ばっ、と体全体で画用紙を隠して、上目遣いに見上げた。
あまりの可愛らしさにクラっとしながら、女王は少し離れた場所で見守る事にした。
時々、鼻歌を歌いながら、アリスはサラサラとクレヨンを走らせる。
暫くして、アリスは
『で〜きた♪』
嬉しそうにクレヨンを置いた。
女王はそわそわしながら尋ねた。
『も、もう見ても良くて?』
そう問い掛ける女王にニコっ、と笑顔を向けると、アリスは得意気な表情で画用紙を女王に向けた。
『見て!女王さまを書いたの!』
突然の事に驚いて言葉をなくす女王の視線の先の、白い画用紙には、画面一杯に描かれた、色とりどりの花々。
その中央には、髪に花冠を乗せ、ピンクのドレスを身にまとう金の髪の笑顔の少女。
頬を紅潮させながら、
『…アリス…!わたくしを描いて下さったの?』
『うん!あげる〜♪』
アリスが満面の笑顔で差し出す絵を、歓喜に震える両手で受け取った。
『お姫さまは、ピンクのドレスでお花なんだよ♪』
ニコニコと無邪気に告げたのは幼いアリスだった―
思わず、くすり、と笑ってしまった女王にアリスが首を傾げた。
「どうしたの?」
女王は、その問いに幸せそうな笑みを浮かべながら
「わたくし、昔からアリスが大好きだったんだなぁ、と思って」
その答えに、アリスは真っ赤になったのだった†
*fin*
限りなく初夏なのですが、ギリギリまで春っぽくいこうかと…(焦)
最後まで読んで下さって感謝です☆★