ビル†
□必要性★
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真実の番人はアリスから最も遠い者。
アリスから一番離れた存在と定められていた。
昔はそれでも良いと思っていた。見守る事の出来る幸せを感じていた。
それも、今となっては過去の話だ。
(自分の理性がこんなに脆いとは思いませんでしたね。)
ふっ、と自嘲気味な笑みを浮かべた。
(真実の番人なのに自らの気持ちを偽るわけにはいきませんからね。)
たとえ、それが世界の理をねじ曲げる事になっても。
「…アリス。ヒトとはどうして欲深い存在なのでしょうね?」
ぽつり、と溢した言葉にアリスはきょとん、として考え込んだ。
「欲深いっていうか…みんな幸せになりたいだけでしょう??
そして幸せになるのは決して悪い事じゃないよ。」
ふわり、と日溜まりのような笑みを浮かべながらも、強くて澄んだ瞳でビルを真っ直ぐに見つめた。
(…あぁ。こうして、アリスは何もかもを赦してくれるから、私は貴方から離れる事が出来ないのです。)
真実の番人が紡ぐ言葉は“世界の真実”ではなくなった。
番人はただ“番人の真実”だけを紡ぐのだった†
*fin*
たまにはシリアスっぽい物を書いてみたいのです。
最後まで読んで下さって感謝です☆★