ビル†

□解決策★
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部屋中にアリスの声が響いた。


「ビルの馬鹿ぁっ!!」

「…。不本意ですね。理由をお聞かせ願えますか?」

表情は乏しいながらも、眉を寄せて、一歩アリスに近付いた。

アリスは、じり、と一歩後ろに下がって、

「だって、よりによって今日、約束のケーキを焼く事ないじゃない!」

膨れっつらで言った。

「おや。どうしてです?」

「!!
前から今日はお茶会に行くねって話していたでしょ?!」

「あぁ、そういえば…。今日だったんですか?」

しらっとビルが小首を傾げた。

「今日だよ〜!もう…。ケーキ食べたかったのになぁ。」

はぁ、と切ない溜め息をついた。

それを聞いたビルは腕を組みながら言った。

「それでしたら、馬鹿、というのはアリスの方ですよ。」

「な、なんでよっ!」

カチン、としてアリスが噛みついた。

「簡単な事でしょう?お茶会で、お茶を一杯だけ飲んで帰って来れば良いだけの事なのですから。」

「えっ…。あ、そっか。
確かに行った事にはなるから、帽子屋も怒らないよね。
あたしもケーキが食べられるから平和に万事解決だね♪」

ケーキが無事に食べられる事によって、アリスは一気に機嫌が良くなった。

(…まぁ、帽子屋にとってみたら平和な解決にはならないでしょうが。
しかし、こちらもそこだけは、寛大になれませんから諦めていただきましょう。)

チロ、と舌をだして微笑みを浮かべた。

「アリス、早く帰って来ないとケーキがなくなってしまいますからね?」

「ええっ!
急いで帰って来るから全部食べちゃ駄目だからねっ!?」

人指し指を立てて“めっ!”というポーズでビルに念をおす。
そして、パタパタと出て行った。


お茶を一杯だけ飲んで帰るアリスに、帽子屋は当然ながら怒り狂い、アリスは仕切り直しのお茶会の約束をさせられる事になるのはまた別のお話†




*fin*
またの名を餌付け、といいます(笑)
最後まで読んで下さって感謝です☆★


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