帽子屋†
□紅茶に入れたのは★
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帽子屋は保守的に生きてきた。
変化というものが好きではなかった。いや、苦手というべきか。
今までは。
「…アリス。また何か妙なものを入れていないか??」
恐る恐る、といった感じに帽子屋が尋ねた。
「え?妙なものが入ってた?!
普通のシフォンケーキを作ったつもりなんだけどっ…ごめんね!変な味でもした?」
慌てて自分の皿にも取り分けてあったシフォンケーキを口に運んだ。
「?普通の味だと思うけど。
ちょっと帽子屋のもちょうだい?」
ひょい、っと帽子屋のシフォンケーキをフォークですくって口に運んだ。
「…バッ、馬鹿アリス!なに、はしたない事しているんだっ!」
赤面しながら帽子屋が慌てた。
「し、しかも、妙なものを入れているのはアリスの紅茶の話しだしっ!」
「なんだ良かった♪ケーキじゃなかったんだね。
紅茶??今日はジャムしか入れてないよ??」
信じられないものを聞いた、という風に帽子屋は素っ頓狂な声をあげた。
「えぇっ!!ジャム?!
あ、あのストロベリージャムパンのか?!
何を入れてるんだよ、アリス!」
終いには立ち上がって叫んでいた。
今度はアリスがその言葉に驚いて素っ頓狂な声をあげた。
「ストロベリージャムパン?!
いやぁ!!なんて恐ろしい事を言うの。
うっ、ダメ。想像しちゃった…。」
心持ち顔が青ざめていた。
「帽子屋のバカぁ〜。」
涙ぐみながら言った。
「バ、バカって、失礼だな!
だって、ジャムって言ったら、あれしか、こっちにはないし…猫と違ってあっちの世界には行った事ないし…っていや、そうじゃなくて…」
涙ぐんでいるアリスを見て帽子屋は慌てた。
「うっ…えっと、その、早とちりして、ごめん。」
ペコリ、と頭を下げた。
アリスはふるふると頭を振って
「説明しなかったあたしもいけないよね。
美味しいから帽子屋も試しに飲んでみて?」
紅茶はストレート派な帽子屋だから、思いっ切り断りたかったが、先程のアリスの涙が心に残っていて、いつものように断れないままカップにジャム入り紅茶が注がれた。
「うっ…。」
チラ、とアリスを盗み見ればニコニコ、と微笑んでいた。
(…アリスの為だ!)
ぐいっとヤケになりながら飲み干して気付いた。
「…あ…美味しい…かも。」
ぽそっと洩らした。
「でしょ?」
アリスが嬉しそうに微笑んだ。
(アリスといると、否が応でも、世界が目まぐるしく変わる。)
もう一口飲んでみた。
(…でも、悪くないな。うん。悪くない。)
帽子屋はひっそりと笑みを浮かべた。
結局、紅茶のおかわりをしたとか、しないとか†
*fin*
短くまとめようと、2回位書き直したのですが、駄目でした↓時間かけたのになんだかなぁ、であります(泣)
最後まで読んで下さって感謝です☆★