帽子屋†

□夜空に光るもの★
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アリスは瞳をキラキラさせながら本当に楽しそうに話す。

アリスは自分の作ったお菓子で幸せ気分になれる、と言っていたが、自分は話しているアリスを見ているだけで幸せな気分になれる。…とは勿論、当の本人には言えないが。

そんな事をぼんやりと考えていたら、不意にアリスが大きめな声を出した。

「聞いてる?!帽子屋!!」

「へっ?!」

考えに耽っていた帽子屋は突然振られて、なんともマヌケな声をあげてしまった。

「やっぱり聞いてなかったんだぁ」

ぷぅ、と頬を膨らませるアリス。
帽子屋は慌てて、

「いや、そんな顔しても可愛いだけ…って、違っ!!
じゃなくて…ご、ごめん。ぼんやりして…た」

珍しく帽子屋がしょんぼり謝ったからアリスは気を取り直して

「だからね、こっちの世界には花火ってあるのかな?って話しをしていたの」

首を傾げて、声には出さずに“ある?”と聞いてきた。
帽子屋も首を傾げた。

「…ハナビ??」

「そっかぁ、ないんだね」
残念そうに呟いた。

「ハナビとはどういうものなんだ??」

「うーん。なんていえばいいのかな。夜空に色とりどりに上がる形も様々な光り、かなぁ。本当に花みたいで綺麗なのっ!」

アリスは拳をグッと握り締めた。
帽子屋は袖を口元にあてて考えていたが、

「…夜空に…光る…」

ハタ、と思い付いたように帽子屋が言った。

「ハナビではないけれど似たものならあるぞ?」

「えっ!なになに見たい見たいっ!!」

前のめりになったアリスにびっくりして若干、後ろに身を退きながら

「い、いや、でも、夜にならなきゃ見れないから…」

アリスはきょとん、としながら

「そりゃ、夜じゃなくちゃ、光ってても分からないよ?」

「ばっ、馬鹿アリス!それ位知ってるよ!
そうじゃなくてっ、…!」

歯切れの悪い帽子屋にますますアリスは首を傾げ

「あぁ、帽子屋が夜は早寝するタイプとか??」

「違う→!!」

帽子の下で真っ赤になりながら帽子屋が叫んだ。

「じゃあ、一体全体何の問題があるの?」

全く分からない、という表情でアリスが聞いた。
帽子屋は躊躇しながらもぽそり、と

「…一緒に、見に…行くのが、俺で…いいのか?…夜だし…」

さっきとは違った感情で帽子屋は真っ赤になって、うつ向きながら呟いた。
その言葉にアリスも同じ位に真っ赤になった。

「えっ…。あっ…。
えと、あ、あたしは…帽子屋と…見たい…よ?」

そして、慌てたように早口になったアリスが

「じゃ、じゃあ、いつ行こうか!
お天気良いし、今日とかは?!」

「そ、そうだな!」

2人とも真っ赤になりながら、ぎくしゃく、とお茶のカップに手を伸ばし一口飲むと、どちらからともなく自然に微笑みあったのだった†



*fin*
長いですねぇ…。しかも、長くなり過ぎて自分的に考えていたラストにたどり着かなかったという(笑)
後編として書こうかなぁ、と思ってしまいました。
最後まで読んで下さって感謝です☆★


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