帽子屋†

□お茶会にはお洒落を★
1ページ/1ページ



アリスは真剣な表情をしながらきっぱりと言った。

「リボンを結んだ方が良いと思うの」

言われた人物は一拍の間をおいたのち、素っ頓狂な声をあげた。

「…はぁ?!」

「じゃーん!てなわけで、リボンを持って来ましたぁ♪」

満面の笑みでウキウキ、と聞こえてくるような態度でリボンを目の前に掲げるアリス。

「ちょっと待ったぁぁ!」

隣に座る人物が必死の声と共に長い長い袖を前に出して拒絶を現した。

「馬鹿アリス!そのリボンをどこに結ぶつもりなんだっ!」

言われたアリスはきょとん、と首を傾げながら

「どこって…帽子??」

「イヤに決まってるだろ!」

叫ぶ帽子屋。
その言葉にしゅん、となるアリス。

「…だって、帽子屋いつも同じ帽子だから…たまにはお洒落に飾るのもいいかな、って思ったのに…。」

きゅっと、唇を噛み締めて涙を堪えながら

「…一生懸命、探してやっと帽子屋にぴったりのリボンを見付けたんだけどな…」

ぽつり、と呟いた。
しかし、次の瞬間には顔をあげて精一杯の笑みを浮かべながら

「でも、帽子屋の嫌がる事はしたくないから、いいや。ごめんね?変な事を言って。
えっと、あ!お茶のおかわりを貰お♪」

そそくさと、ティーポットに手を伸ばすアリスの手は横から伸びた手に遮られた。

「ア…アリスが選んでくれたなら…着け…着けても…いいぞ…」

帽子の下で真っ赤になりながら帽子屋が告げた。

「…いいの?無理しないでいいんだよ?」

「いっ、一回だけだからな!!」

その台詞にアリスは、ほころぶような微笑みを浮かべた。

「うん!ありがとう、帽子屋♪」

直視してしまった帽子屋は固まり、その間にアリスはいそいそと帽子屋の帽子にストライプのリボンを結んだ。

「出来た♪うん!やっぱり、似合うよ♪かっこいい」

ニコニコと微笑むアリス。帽子屋はもう何も言えなかった。


その後、あちこちで、リボンを誉める住人を蹴散らす帽子屋の姿があったとか、ないとか†



*fin*
…皆様のイメージを壊しまくりで、すいません(焦)ストライプ柄って結構好きなのです。チェックとも迷ったんですが(笑)
最後まで読んで下さって感謝です☆★


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ