女王様†
□月光の花園★
1ページ/1ページ
月の光が照らす庭園に一人の少女が佇んでいた。
目の前に広がる光景を眺めながら、はぁ、と切ない溜め息をついた。
その背に純粋な感嘆の声がかけられた。
「わぁ…!素敵…!」
その声に驚いて振り向いた少女の視線の先には、頬を興奮で染め、瞳を煌めかせた人物が立っていた。
「ア、アリス…!ど、どうして、ここへ?!」
現実なのか、夢なのか、判別がつかずに女王は上擦った声で尋ねた。
アリスはその質問に柔らかい微笑みをうかべた。
「女王様、本当はここの花園を見せてくれようとしたのでしょう?」
その台詞に、女王は言葉を失った。
「昼間、見せてくれた花園も、もちろん凄く綺麗だったよ。
でも、前にチラッと“月光花”の事を話してくれたじゃない?」
女王は口を開く事が出来ずに、ただただアリスを見つめていた。
「昼間から、何か言いたそうだったし…。
そしたら、さっき部屋から後ろ姿が見えたから“もしかして”って思って、ついて来ちゃった。」
可愛らしく肩をすくめた。そして、目の前に咲き誇る青紫の花々をうっとりと見つめた。
アリスが見た事がないと言っていた、夜にしか咲かない月光花を女王は植えて大事に世話をして、綺麗に咲き始めた。
本当はこの花を見て欲しかった。
(でも、泊まっていって、なんて、断られるのが怖くて言えなかった…。)
しかし、アリスは自分の些細な言葉を覚えていてくれたり、態度から、的確に自分の本心を掬いあげて耳を傾けてくれる。
「…だから、わたくし、アリスが大好きですわ。」
泣きそうな笑顔で女王は言った。
「月光花を見せてくれてありがとう、女王様。
とっても素敵な花なんだね。」
ニコっとアリスが言った。
翌朝、なかなか起きて来ない2人の朝食をどうしたらいいか、ウミガメモドキがヤキモキしたのは別のお話†
*fin*
お花の名前を書きたかったのです(笑)
最後まで読んで下さって感謝です☆★