女王様†
□広さゆえに★
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ある日しみじみと女王は呟いた。
「お城に住むなんて別に良いものではないわよ?」
アリスがお城を見ながら、しみじみと感嘆の声をあげた事に対しての、返答だった。
「確かにお掃除とか大変そうだね」
「あら、そんなものはウミガメモドキにでもやらせておけばいいのよ」
にっこりと女王は言った。若干アリスは引きつった笑みを浮かべた。
慌てて、
「で、でも前と違って素敵なお部屋がたくさんだから、やっぱり羨ましいなぁ。」
以前は首が飾られていた廊下を今はたくさんの花々が埋め尽くしている光景を思い出して、ニコリとアリスは笑んだ。
「…時折、夜に目を醒ましてしまうと、広すぎて…考え事をしてしまうわ。」
女王は寂しげな笑みを浮かべた。
夜の静けさは孤独を感じさせる。昼間との対比を嫌でも思い知らされて、朝が来るのを待ちわびてしまう。
一度温かさを知ったら、もう元には戻れない。…戻りたくない。
きゅっと、唇を無意識に噛む女王を見つめて、アリスが口を開いた。
「女王様、あたしまた月光花を見たいな♪
また泊まりに来ていい?
あのベッドで寝たらあたしでもお姫様気分が味わえて好きなんだよね。」
その言葉にパァッと表情を明るくした女王は身を乗り出して、ガシッとアリスの手を握り締めた。
「是非ともいらして!もう、今夜でも構いませんわ!」
ぶんぶんとアリスの手を握り締めたまま上下に振った。
引っ張られて首をがくがくさせながらアリスが
「わ、分かったから手を離して、…う、腕がつるし首が取れちゃう」
「まぁぁ!なんて素敵なのっ!」
「全然、素敵じゃないよ!」
慌ててアリスが叫んだ。
そんなアリスを見つめながら女王は
(アリスがいる城だったら、嫌いではないわ)
“お城に住む”から考え事をしてしまうのではなく、 “アリスと離れている”から考え事をしてしまうのだと改めて気付いたある午後のお話†
*fin*
オチがない管理人だから分かってはいたけれど、ここまでオチがないというのも…(焦)。
暑くて思考回路が働いていない、と生温く見つめていただければ有り難いです↓
最後まで読んで下さって感謝です☆★