女王様†
□夏の風物詩★
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愛らしい少女が小首を傾げて尋ねた。
「怖い話ですって?」
一瞬考え込んだが、すぐに、はっ!とした表情になって、
「アリス!なにか怖い思いをしましたのね?!
わたくしがその者の首…でなくて、こ、懲らしめてやりますわっ!!」
立ち上がって叫んだ。
ぎょっとしたのは聞いた張本人で、慌てて
「ち、違うの!」
と、少女の手を引っ張った。
「女王様が、怖い思いをした事はないのかなぁ、って意味だよ。幽霊を見た、とか聞いた、とか。」
“怖い”という言葉で思い出すのはただ1つ…。
ぽつり、と女王は溢すように呟いた。
「…幽霊というものは、よく分からないけれど、心底怖いと思った事は、ありますわ。」
(永遠に失ってしまうかもしれない、と本当に、毎日が怖かったわ…)
最初は興味津々に女王を見つめていたアリスだったが、
「…ごめんなさい。怖い思いを、思い出させちゃったね。女王様、顔色が悪いもん。温かいお茶を入れるから、飲んで?」
申し訳なさそうにお茶をカップに注いだ。
回想に迷い込んでしまっていた女王はアリスの言葉で現実に引き戻された。
すまなそうにしているアリスに、安心させるように微笑みを向け、
「大丈夫よ、アリス?
怖い思いはしたけれど、現実にはならなかったもの。
そして、わたくしは今、とっっても幸せですもの。でも突然そんな事を聞いてどうしたの?」
アリスはその質問に一瞬たじろいだが、正直に
「だ、だって前のお城には…く、首が一杯だったから…お化けとか出そうだなぁって思って」
「まぁぁっ!首達は怖いものではなくてよ、アリス?!」
「怖いよっ!!」
女王の言葉を即座に、完全否定したアリスだった†
*fin*
夏といえば怖い話…と思ったのですが、最近は涼しい日が続くは、怖い話の要素はないわ、ですね(笑)
最後まで読んで下さって感謝です☆★