住人達†

□夏の名残★
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その日は夜空に星がたくさん瞬いていた。

アリスが“見せたい物があるから”と、女王様に頼み込んで広い広い庭園を借り、住人達に集まって貰う事になっていた。


約束の時間よりも、早い時間から続々と集まって来る住人達。

そしてウミガメモドキだけでは手が足りないという事で、レストランからカエル達まで手伝いで呼ばれる始末。

「私達も、もてなされる側が良かったです〜…」

という意見は綺麗に無視されたとか。

金髪の麗しい少女がぷりぷりと叫んでいた。

「アリスの頼みでなければ、あなたの顔なんて見たくなかったわよっ!猫!
一体アリスはどこなの?!」

「僕だって君のキンキン声なんて聞きたくなかったよ、首狂い。
アリスは用があるから後から来るけど、別に君に会いに来るわけじゃないからね」

「まぁぁっ!なんですってぇ?!」

チェシャ猫の余計な一言に女王が怒り狂う。

そんな女王が鎌を取りに走らないように目を光らせつつ、ビルはさりげなくテーブルに並ぶデザートで初めて見るもののレシピをウミガメモドキに尋ねている。

「い、いやに真剣ですね」

タジタジになりながらウミガメモドキが言うと、ビルはチロリ、と舌を出して笑みを浮かべ

「そんな事はありませんよ?」

と言うも、ネムリネズミがぼそり、と

「…帽子…屋…ビル…抜け…駆け…を…」

そこまでを精一杯の努力で帽子屋に告げて、眠りに落ちてしまった。

「なにっ!?ビル!アリスがウミガメモドキのデザートを誉めていたからって抜け駆けして、レシピを聞くなんて卑怯だぞ!!」

勝手にお茶を入れて寛いでいた帽子屋が慌てて立ち上がった。

「ビル。作るならパンを作れ、パンを。」

すかさず自己主張をする廃棄くん。

そこへ、ちまちま、と走り寄って

「あれぇ?アリスはどこですか??
新作の服を着てもらわなくちゃです〜。親方、どうしましょう?アリスがまだ来ていませんよ〜?」

「てやんでいっ!慌てるんじゃねぇ!
アリスは来るって言ったら来るんでいっ!」

その言葉が合図だったようなタイミングでアリスが走って来るのが見えた。

「待たせちゃってごめんねっ!!もう皆…揃っているみたいだね」

アリスは肩で息をしながら、一斉に挨拶をしてくる住人達に笑顔で挨拶を返しながら、ある物を渡していった。

首を傾げている住人達を見回しながらアリスが話し始めた。

「皆、忙しいのに集まってくれてありがとう。
今夜は皆で線香花火をしたくて集まってもらったの♪
私のいた世界では夏の終わりにこれをやるのが風流っていうか、常識っていうかなんていうか…。
とにかく!大好きな人達とやるものなのよ!」

最後、強引にまとめた。

住人達はそれぞれ、アリスに倣ってテーブルに灯されているロウソクから火を貰い、手にした線香花火へと点けていく。

あちこちで蛍のように光りが揺れ、暗闇の中キラキラした火花が幻想的に煌めいていた。

「…おや。アリスは二つなのかい?」

両手に線香花火を持っているアリスにチェシャ猫が首を傾げて尋ねた。

「え?…あ、うん。
こっちはねぇ……シロウサギのなんだ。」

そう言ってアリスは夜空に浮かぶ大きな大きな満月を振り仰いだ†



*fin*
…全員に喋らせるのって大変ですね…。なんだろう、このお話(泣)

しかし読むのはもっと大変でしたよね(汗)お疲れ様でした!

最後まで読んで下さって感謝です☆★


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