住人達†
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ある日ハリーが被服室で提案した。
「親方ぁ〜、そろそろアリスに新しい服を作ってあげましょうよ〜」
「あぁっ?!」
「僕アリスの希望を聞きに行って来るです〜」
そう言うと歩き出そうとした。
「ちょ〜っと待てハリー!!」
親方がハリーの背に向かって制止の声を投げかけた。
「お前、何一人でアリスに会いに行こうとしているんだよっ?!
バカヤロー、デザインなんてお前には100万年、早ぇ〜よ!」
「え〜、出来ますよ〜、なんたってアリスの為ですからね」
口を尖らせてハリーが言う。
そんなハリーを親方は鼻で笑った。
「ふっ。それが甘いって言うんだよ!いいか?!デザインってのはなぁ、色々な人の服をデザインしてなぁ、様々な経験を積んで初めてイイ服が作れるってもんなんだよ!…だから俺が行く!」
「え〜ズルイです〜。それにデザインはインスピレーションだと思います〜」
「あぁっ?!インスピレーションだかファンデーションだか知らねぇがっ…!」
親方が言い募ろうとすると軽いノックの音が部屋に響きアリスがひょっこりと顔を出した。
「こんにちは〜」
2人は驚いて振り返った。
『アリス?!』
その声に逆にアリスが驚いた。
「えっ?!なに?!」
「な、なんでもないっ…な、なぁハリー?」
「はい、親方〜」
嘘臭い笑いを交わす2人に首を傾げながらも、当初の目的を思い出して、アリスは2人に話し掛けた。
「そうそう!あのね、洋服を直してもらいに来たんだ。縫ってもらえるかなぁ?お願いしますっ」
両手を前に合わせて頼んだ。
「今、着ている服かい?」
尋ねる親方にこっくりと頷きながら、裾を軽くつまんだ。
「無理矢理、植木を通り抜けようとしたら枝に引っかかっちゃたの」
「それなら、アリスの為に新しい服を作ってあげますよ〜」
そう言うハリーにアリスは、にっこりと微笑んだ。
「この服だって、2人が作ってくれたのでしょう?
あたしこの服、すごい好きだよ♪これがいいの」
「やっぱり、アリスはそうこなくっちゃな!」
「はい〜、とっても似合ってます〜」
いやに幸せそうに笑う2人に、アリスは再び首を傾げたのだった†
*fin*
朝のテロップで“今日はいい服の日”だと流れたので、思わず書いてしまいました(笑)
そういえば、この2人をまともに書くのは初めてなのです。
最後まで読んで下さって感謝です☆★