住人達†

□夢から醒めても★
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ー自分が起きていられる時間はとっても少なくて。

それでも目を開ければ、いつも煩い帽子屋は真っ先に気付いてくれて。
でも、彼には内緒で本当は別の人物を無意識に探していた。

何度、こっそりと溜め息をついてきたか忘れてしまったけれど、今は違う。

目を開ければ、帽子屋と同じ位の早さで気付いてくれる彼女がいる。
今日もー

「おはよ〜ネムリン♪ほらね!帽子屋、あたしの言った通りでしょ?」

「…っ!たまたまだよっ!バカアリス!」

わけが分からず首を傾げた。

「な…んの…話…?」

アリスがにっこりと微笑みながら答えた。

「あたしの方が先にネムリンが起きるのに気付けるんだよ。…勘っていうのかなぁ?」

「今回はたまたまだよ!アリスの話なんか信じちゃ駄目だからね、ネムリン?!」

「帽子屋ってば往生際が悪いなぁ」

やれやれ、と首を振るアリス。

「なっ!ちがっ!」

「はいはい。分かったから、ネムリンも起きた事だしクリスマスパーティーを始めよ?」

笑顔で話を終わらせるアリス。

「バカアリス!人の話は最後まで聞け→!」

「あ→!帽子屋、手元ちゃんと見て!お茶溢しちゃう!」

「うっ?あ、あぁ。悪い。どれ、蒸らしも良い時間だから、注ぐよ。ほら、カップ」

アリスが慌てて3人分のカップを集めて帽子屋に渡した。

「はい。お願い」

「…僕も…何か…」

「じゃあ、ネムリンはクッキーを乗せて?あたしはケーキを取り分けるね」

いそいそ、とクッキーの皿の元に行くも、フラリ、と体が傾いだ。

「ま…だ‥」

パタリ。

「ネムリン、寝ちゃったな」

「大丈夫♪今度はすぐに起きるよ?」

「またぁ〜。その自信はどこから来るんだよ?」

「勘!」

アリスはきっぱりと言い切った。
その言葉が合図かのように、ネムリンが身を起こした。

「…クッキー…」

「おはよ〜ネムリン♪さ!全員揃っている内に乾杯しよ、乾杯♪」

「本当なら紅茶で乾杯なんてマナー違反は許さないんだからな!今日は特別なんだからなっ!」

「そうなの?」

きょとん、としているアリスに帽子屋は噛み付くように言った。

「そうなんだよっ!」

ー帽子屋は“特別”っていうのをアピールしたいんだよね。それなら僕もー

「僕…アリ…ス…。ケーキ…を…取って…?」

「ネムリンが頼むなんて珍しいね。いいよ〜♪」

ケーキを取り分けながら“そうだ”という表情をしてアリスは

「ネムリン、はい、あ〜ん♪」

フォークで小さく切り分けたケーキを口元に差し出した。

パクリ。

「!!!」

「可愛い〜♪もっと食べる?」

そう言って再びフォークを差し出すアリスに頷きを返しながら視界の端で絶句している帽子屋をチラリ、と見る。

ークリスマス位、夢に見ている事を現実にしてもいいでしょ?ー

「…明日…も…クリスマス…なら…いい…のに…」

頑張って起きている、ネムリネズミの心からの言葉に

「クリスマスは楽しいから毎日でもいいよね♪」

アリスは無邪気な笑顔で答えたのだった†


*fin*
初めてネムリン話を書いたです♪
本来のクリスマス企画は今まで主役になっていなかったキャラも登場させてみよう、という試みもあったのです。
儚く散った企画でしたが…(泣)

最後まで読んで下さって感謝です☆★


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