NOVEL

□天然恋心
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「柘榴さ、あのカス鮫の事好きなんじゃねーの?」
「……は?」

ベルの口からとんでもない台詞が出てきた
まさか、ありえない
頭をフル回転しているとリビングのドアが開いた

「――っ!!?」

そこに居るのは長い銀色
顔を真っ赤にしてすぐに出て行った
何故だか胸がチクリとした
もしかして‥なんて思った(あぁ、自分はあの人が)

「‥ベル、」
「……」

ベルはまだ抱き締めていて(抱き締める、というよりも
しがみつくのが正しいかもしれない)
すると早く行けよと突き放した

「‥あ、の」
「追いかけて来いって言ってんの!」

バタンと音がした
バタバタと音がした
ドキドキ、と心臓が鳴った
いつの間にか自分は走って走って走って走って走って‥
あの愛すべき大馬鹿者を早く見つけなければ
誤解なんだと言わなければ
愛してると言わなければ
そして思いっきり殴ってやろう
馬鹿って言って殴ってやろう

「……」

愛しい子は駆けてった
銀色のあいつを追いかけた
残ったのはあの子の体温とシャンプーの香り

「良かったのかい?」
「…うん」

確かめれたからもう良いのだ
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