NOVEL

□甘さの致死量
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暑い日差しの中セーラー服の乙女が笑いながら歩いて行く。細く柔らかな髪をなびかせ颯爽と歩く彼女達を窓の内側から眺めていると、斜め後ろから何やら視線を感じるので横目で見ると紫色の彼が僕と同じ様に窓を眺めていた。
羨ましいかい、と声を掛けてやると彼を少し焦って別に、と素っ気なく返してきた。気が付けば僕は手に持っていた赤い果実に爪を立てていた。仕様が無いのでこれはミキサーにかける事にしよう。
決まれば速い、手に持った潰れかけた林檎をミキサーに押し込め、上から沢山の砂糖をかけ氷を入れる。砂糖を入れた所で後ろからうえーと言う声が聞こえたが聞かなかったふりをした。僕は甘い方が好きだ、何だってそうで、それは例外なんてなかった。
プラスチックの容器の中で固体が液体に変わってゆくのを眺めている間も紫の君は窓を眺めていた。少し苛立ちを覚え液体をコップに移す。少しどろっとして気持ち悪い、と思い自嘲した。そのどろりとした液体の入ったコップをお盆に乗せて台所を後にする。

「出来たよ、林檎ジュース」
「まだ砂糖の形が残ってるよ」
「まぐろ君のはこっちね」

量の多い方を渡すとまぐろ君は苦笑いしたのでまた台所に行きスプーンを取ってきてコップの中に突っ込んだ。

「‥混ぜても意味ないと思うけど」
「じゃあ貸して」

ぐちゃぐちゃと掻き混ぜるまぐろ君の手を退けてコップとスプーンを奪い、僕はスプーンで液体を掬った。まぐろ君はよく分からないという顔で僕を見詰める。そんな彼の口に無理矢理スプーンを押し込んだ。

「どう、美味しい?」





甘さの致死量
(……甘い、)



夏のレムまぐ。とゆーかレム→まぐ、レムレスがセーラー服の乙女に嫉妬してたりしてなかったりー。

100706 蒼木 ゆう
 

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