NOVEL

□少年カニバリズム
1ページ/3ページ

「…」

水槽の中、ぷかりと黒い物体が浮いている
黒くて、小さな命

「(死んだんや‥)」

正しくは殺された(いや、食べられた だ)
これは先日前まで遡る
先日スクアーロがペットショップで熱帯魚を買った時
何を思ったのかベルも飼いたいと言い出し赤と黒の金魚を2匹貰ったのだ、スクアーロに
そこで、だ
あの面倒臭がりなベルがちゃんと世話出来る訳なく(まぁ、うちが世話しとったんやけど)
うちが長期任務から帰って来たらこれだ
あれほどちゃんと餌をやれと言ったのに‥
赤い金魚はゆらゆらと泳ぐ

「ベル、」
「何?」
「死んでる」
「あぁ‥うん」

あぁ‥って彼は何とも思わないのだろうか
いや、まぁ確かにベルは人1人死んだ事にも何も思わない人間だが、これは自分のペットだ
少しは愛嬌ぐらいあるはず

「だってもう飽きたし」

どうやら愛嬌も、もうないらしい
それよりも今、自分は飽きたという言葉が怖かった
飽きた、のだ ベルは
金魚に飽きた
自分もいつか飽きられるのだろうか
そう思うとこの金魚が他人事とは思えなくなった

「(お墓作らないと‥)」

何だか未練がましい‥
だってしょうがない
他人事とは思えない
つまり、自己満足

「何してんの?」
「墓」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ