NOVEL

□僕らの世界に、嘘なんて、ひとつとない。
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細く頼りない銀縁に薄いレンズ
君は今、フィルター越しの世界を見つめる
見つめる先は細かい文字、文字文字
官能小説でも読んでるの?と聞いたら溜め息の後に馬鹿と言う声が聞こえた
そして君はまたページを捲る
数分ごとに聞こえる乾いた音、それ以外は何もなかった
そう、何もなかった
僕は席を立ち上がりロベルトへ近付いた

「?」

一瞬顔を上げるが直ぐにまた目線を手元の小説に落とす
僕は思い切ってロベルトの眼鏡を取り、上に上げた
ロベルトは何事かと言うように僕を見た、途端に口が開いた

「ちょっと、アノン‥」

返して、と手を伸ばす君を振り払う(返してあげても良いけど後でね)
兎に角、この眼鏡を取られないように僕は腕を高々と上げ、ロベルトに言った

「ね、それ楽しい?」

すると君は少し不服そうに眉間に皺を寄せ、楽しいよ、と応えた
今は目線だけ僕に向けている
手はもう先程の小説を掴み、溜め息を吐いた(呆れてる、のかな?)

「ロベ、」
「‥何?」

まだ碧眼だけしか僕に向いていなかった
少し、そう一拍置いて息を吐いた(これは生きてる証だ)

「好きだよ」

今度は透けるような白も僕を見た


僕らの世界に、嘘なんて、ひとつとない。
(フィルターなんて掛けなくてもいいだろう?)
(だって、こんなにも好きなんだから)

***あとがき
アノロベが好き過ぎます
なのにこんな‥何なのか分からない物ですみません;
ロベに眼鏡を掛けさせたかったのです
私の趣味です、眼鏡大好きです
なんだかんだ言ってロベルトもアノンに構ってたら良いなぁ、と思うのです

081024 (C)Yuu Aoki
お題先 joy
 

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