NOVEL

□少年は恋を患い息の苦しさを知る
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最初は本当に小さな感情だったんだ
それがいつしか大きくなり、気付きたくないものへと変化したのはいつだったか
もうそれ程前からの話だ
最初に見たのは自分が此処へ来た日
素直に綺麗な人だと思った、けど結構性格は人間らしかった(良い意味でも悪い意味でも)
本当にこんな人が人殺し等するのかと疑問に思ったが彼女はあっさりと人を殺めて見せた
知らないうちに魅了されていた
気付けばいつも目で追いかけていた
だから気付いた、気付きたくなかった
綺麗な漆黒の髪の彼女は綺麗な金髪の王子様に笑いかけていた、知っていた
こんな事初めから知っていた、知っていた、知っていた
……知って、いた
悲しいやら悔しいやらそんな感情は特に抱かなかった、当たり前だそれを承知のうえで彼女に恋い焦がれていたのだから
ただ、なんと表して良いのか解らない感情だけが深く深く渦巻いていた
自分はそれを悟られない為に必死だった

ある晩の事だ
不意に目が覚めてなかなか眠れない自分は水でも飲もうかとラウンジに向かった
真っ黒な髪、前に突っ伏した細い体は間違えること等なく彼女だった
‥寝ているのだろうか?
そっと彼女に近付いてみた

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