NOVEL

□消色ワールドでワルツを
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真っ暗の中にオレがいた
それは比喩なんかじゃなくて、
本当に真っ暗だった

「あんた阿呆ちゃうん?」
「でも朝起きたらリングゲットしてんだぜ?
王子凄くね?」

パンッ
と乾いた音が響いた
あ、オレはたかれたんだ

「ってー‥何すんだよ」
「もっぺん寝る?」

声が低い、怒ってんだ
でも、オレ何にも見えないよ

「……」
「……」

ドサッ
バフンッ
オレは何かと衝突した
つか病人なんだからもうちょっと優しく扱えよ

「何?柘榴たまってんの?」
「阿呆っ」

ばさり、と髪が上がった

「ほんまに見えへんの?」
「‥うん」
「そっか‥」

見えない
柘榴が泣いてるのか、怒ってるのかも(多分両方だ)
見えるのは黒だけ

「‥柘榴」
「……」

大切な人は小さく震えていた
君が綺麗だと言った青はこんなにも役に立たない




消色ワールドでワルツを

(泣くなよ、頼むからさ
どうすることも出来ないなんて王子ダサ過ぎじゃん)
(ベルが生きてて嬉しいけど、でも‥
あんなに綺麗だったのに好きだったのに)
(結局、王子様もお姫様も踊れないままなんだ)


***アトガキ
嵐戦の後にもしもベルの目が見えなくなったらって話
柘榴はベルの目が好き!(…。


070923 (C)Yuu Aoki
 

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