NOVEL

□three year's
1ページ/1ページ

「サカキ様、これがラジオ塔の見取り図です」

白い紙に細かく記された黒いインクとの集合体をモニター越しの愛しくて愛しくて仕方ない貴方に見せる。貴方は茶色のハットを深く被りそれと合わせたコートに身を包む。嗚呼、三年前のあの日と同じだ(私達を捨てて、消えて行った貴方は、)

「‥ラジオ塔を占拠する事に成功しました」

真っ直ぐに貴方を見つめても返ってくるものは何もなく、私はただただ貴方を見つめるだけ。三年前もそうだった、どんなに私が愛と言う名のベクトルを、眼差しを、向けようとも貴方は振り向かない。貴方はボス、私は幹部。その関係が崩せない、嗚呼。

「…私は、」
「アポロ」

不意に名前を呼ばれ顔を上げる。あぁ、貴方から名前を呼ばれるなんてもういつ振りでしょうか。それだけで私は舞い上がれる気がします、否、舞い上がっています。


「今からそっちへ向かおう」
「‥はい」

嗚呼、愛しい貴方。私が愛した貴方、どうしてこんなに近いのに遠いのでしょうか。触れる事も許さぬ貴方に何度恋い焦がれたでしょう、揺るがぬその瞳に何度釘付けになった事か。貴方が居ない夜がどんなに苦しかったか、どんなに死にたくなった事か、貴方は知りはしないでしょう(だから、そう)

「サカキ様」

モニター越しにもう一度貴方の名前を口にする。ピクリと微かに反応を示す貴方が可愛くて仕方がない、嗚呼、そうだ、あの赤い少年にやられた後もこうだったな。貴方は、実は‥

「愛してます、」





three year's
(この先に続く言葉を貴方は知らない)



アポサカにたぎり過ぎて勢いで書いた。あまりにも無さ過ぎて悲しいです、だから自分で書きます。畜生。

091127 蒼木 ゆう

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ