短編小説
□大きな犬を拾いました。
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ある雨の朝。
学校に行くために傘をさす。
その頃、私は学校に行くのがいやで嫌で仕方なかった。
雨のせいでより気持ちは沈む。
公園の前に差し掛かると、朝早いにも関わらず人影がある。
晴れの日なら掃除をしているオジサンがいるが、雨の日にはまれだ。
それに…傘を差していない。
男の人かな?…まあいっか。
そのまま特に気にもせず学校へ向かう。
学校について廊下を歩く。
賑やかな声が廊下にも教室にも響く。
ガラガラ。
教室に入るとその場が凍りつくのがわかった。
だまって自分の席に着く。
すぐに賑やかさが戻った教室の中で、近くに集まっていた4・5人の女子が自分に聞こえるぐらいの声でささやきあう。
「よく毎日来るよね。」
「うざっ。」
「勉強が好きなんじゃね?」
「言えてるぅ。きもぉ。」
そう言ってくすくすと笑う。
私は聞こえないふりをしながら逃げるようにトイレに立つ。
いつものことだ。
忘れろ、忘れろ、忘れろ、忘れろ…。
そうして一日をやり過ごす。