寄書

□+姫と影+
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ねぇ、愛してる?

何度問い掛けただろう。
そして何度はぐらかされただろう。
今度は聞かせて。
私は愛されたいの。



「仙水、またやっちゃった…」
「仕方無いですよ、これは貴女が悪いんじゃありません。貴女の問いに答え無かったこの男が悪いんですから」

動かぬその肉塊に無情にも蹴りを入れる。
また一つゴミが増えた。
しかしそれを処理する作業を嬉しくさえも思える自分は壊れているのだろうか。
このゴミが僕と貴女を繋ぐ唯一の接点。貴女にお仕えするのが僕の仕事だから。
それ以上を求めてはいけない。


「仙水は私を愛してる?」
「勿論です、我が姫君」

肉は燃やして全て灰に。
骨も残さず徹底的に。
仙水は私をいつも助けてくれる、私の影。
分かってる。私が本当に愛したいのは仙水なんだ。
仙水は私を本当に愛せる?
もし、もし愛せなかったら、私は、また……?


「終わりましたよ、我が姫君」
「そ、う……」
「どうかなさいましたか?」
「ううん、なんでも無い」




繋がらない二人の想い。
増える肉塊に愛をのせ、貴女だけへのメッセージ。
頼る事で愛を送り、貴方だけへのメッセージ。


愛してる。




end...

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