寄書

□*偽物天使*
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*偽物天使*


私達に重力と言う概念は無い。
ふわふわと好きに浮いて、足を着けたければペタリと地面に着ける事も可能だ。
別に幽霊とかではないらしい。
所謂、人間が言う【天使】的な存在なんだと。
仲間にそう言われたから。
まぁ、羽は無いけど。

「あんた、本当に本好きね」
「まぁね」
「飽きないの?」
「うん」


此処は古本屋……の棚の上。
彼女は足を組んで本を読む。
時折、やってくる天使仲間は呆れて居た。
人間には見えないように出来てる身体なので自由に場所を占領出来る。

「たまには外に出たら?」
「ヤダ、めんどい」
「…いい加減にしないと人間に【触れて】しまうわよ」
「それでも良いよ、あたしはもう飽きたんだ」


こんな生活。
ふわりと棚から降りる。
ワンピースのスカートが翻り風がおきる。
私達、【天使】には生きていくにあたりルールがある。
それが、

【人間に触れてはならない】


全く、くだらない。
一度目の前で【触れて】しまった天使を見た。
その子は【消えた】
今は何処で何をしているかも分からない。

でも、ずっと人間から遠ざかって、こんな生きてるか死んでるか分からない生活より楽しそうだと思った。




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