始まり終わりの7題

□真っ白なキオク
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オレは高校で、どんな風に過していたんだろう。
三橋は自宅の庭の投球練習場で、ボールを投げ込みながら考えている。

部活ではブルペンで阿部という捕手を見ただけで、倒れてしまった。
気がつくと三橋は保健室で寝かされていたのだ。
結局三橋はその日はそのまま帰宅することになり、母親が車で迎えに来た。

翌日は三橋と同じクラスだという田島というもう1人の捕手が、ブルペンに入った。
だが結果は同じで、三橋はやはり呼吸困難に陥り、その場に倒れてしまった。
過呼吸。過換気症候群。パニック発作。
なにやらそんな病名が付けられて、三橋はまた保健室から自宅へ直行することになった。

個人を認識しているのではなく「捕手」に反応しているのではないか?
三橋のいないところで、そんな話がなされたらしい。
またその翌日のブルペンでは、阿部がヘルメット以外の防具は付けないで構えた。
そのときには三橋の状態は、多少緊張はしたものの極々普通だった。

監督の百枝が防具をつけない阿部を「危険だ」と言って、止めようとしていた。
だが阿部は「こいつの球なら、平気ですよ」と答えていた。
そして三橋は3日目にして初めて、ブルペンでの投球練習が出来たのだった。
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