ヒルセナ10題

□金色のヒカリ
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セナはきっぱりと断わるつもりだった言葉を飲み込んだ。
終わってしまったクリスマスボウル。
この先、ヒル魔と同じサイドで戦う機会はあるだろう。
でも一緒に目指すクリスマスボウルはない。
その事実がセナの言葉を途切れさせたのだった。
だけどやっぱり違う。クリスマスボウルを目指す場所は1つしかない。
そう思ったセナは大和の背後の柱の向こう。
一瞬キラリと光る金色のヒカリを見つけて、微笑した。

大和くんに誘われるなんて、ものすごく嬉しい。
でもやっぱり僕は泥門で頑張るよ。
セナは丁寧に言葉を選びながら話し出した。
大和は黙ってセナの言葉を聞いている。
帝黒に不満があるわけじゃない。泥門よりレベルは高いだろうし。
行けばきっと実力も上がるし、楽しいとは思うけど。
ヒル魔さんとまたクリスマスボウルを目指せるのも、嬉しいと思うけど。
でも僕はやっぱり泥門のメンバーが大好きなんだ。
僕の初めての居場所で、皆大事な仲間だから。

セナは大和に笑いかけた。
それは控えめだが、確かな自信に裏打ちされた笑顔だった。
そうか、残念だね。でも何となくセナくんはそういうんじゃないかと思ってたよ。
大して残念そうでもない顔で大和もまた笑う。
その時、キッドと何か話していたヒル魔が「糞チビ、ちょっと来い!」と叫んだ。
恋人ではなく完全にアメフトモードだ。何か試合か作戦の話だろう。
ごめんね、また後で。とセナは苦笑しながら席を立った。
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