ヒルセナ10題

□金色のヒカリ
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よかったね。
セナがヒル魔の元へ走っていく後姿を見ながら、大和が背後の柱に声をかける。
大和の後ろにチラリと見えた金色の人影。
彼は柱の向こう側で勧誘話が始まって、動くに動けなくなってしまっていた。

気づいてたか。悪趣味だな。
柱の後ろから十文字が姿を現した。
見えてたんだよ、金色のヒカリが。
大和が指差したのは、ロビーの中央に置かれたガラス製の花瓶だった。
セナの背中越しに十文字の金髪がそこに映りこんでいたのだ。
多分セナくんも気づいてたと思うよ。まぁあの答えはそれとは関係ないだろうけど。
大和の得意げなセリフに十文字が忌々しげに舌打ちをした。

一方セナは。ヒル魔の方へ小走りに向かいながら思う。
ヒル魔ともう一度クリスマスボウルの夢を追う。
それは素敵な誘惑だった。
でももう1人の金色の髪を持つチームメイトも、セナにとっては大切な存在だ。
だから泥門デビルバッツで。もう1回クリスマスボウルに行く。

でも。花梨さんとは1回プレーしてみたかった。ちょっと惜しかったかな。
そんなことを考え、足を止めたセナに。
さっさと来い!とまるでセナの心を読んだようなヒル魔の怒声が飛んだ。

【END】
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