年下5題

□可愛いエガオ
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セナのことが好きだと思う。
主将であるセナ、先輩であるセナ、アメフトプレーヤーとしてのセナ。
すべてをひっくるめて、人間として好きだ。
そして何よりも特別な、唯一の存在。
どんなにつらいときでも笑顔を絶やさないセナは、可愛いし健気だと思う。

中坊は、もうはっきりとセナへの恋心を自覚していた。
高校へ入学する前までは、憧れ。
入学してから、夏合宿の辺りまでは尊敬。
だが本格的にクリスマスボウルへの戦いが始まった頃から、その想いは形を変えていった。
いや本当は初めから恋だったのかもしれない。

セナを守って、自由に走らせるのが自分の義務だ。
そしてヤードを獲得したとき、そしてTDを決めたときのセナの笑顔。
いつしかそれが、中坊の原動力になった。
いくら好きでも男同士で先輩なのだから、結ばれることなどないのはわかっている。
それでも同じサイドで戦ううちは、セナを守ることが出来る。

だがそれも終わってしまった。
だから中坊は、セナの可愛いエガオを思い出せる記念品が欲しかったのだ。
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