ヒルセナ5題

□想いをこめたキス
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何でこんな忙しい時期に生まれやがった。
ヒル魔はセナに理不尽な感想をぶつけた。
クリスマスボウルの直前。セナの16歳の誕生日だ。
欲しいものはねぇのか?と言うヒル魔の問いに、予想外の答え。
あれに乗りたいんです。とセナが恐る恐る指を差したのは。
ヒル魔がここ3週間ほど愛用していた移動型酸素カプセルだった。

アクセルはねぇんだ。重心を前に持ってくると前進。戻すと停まる。
ヒル魔が簡単に説明した。操作が簡単な乗り物だからだ。
だがセナはこういうのに向いていないのか、元々不器用なのか。
なかなか進まないと思ったら、急加速し、急に曲がる。
試合前に怪我でもされたらかなわねぇなと。
結局酸素カプセルに二人で収まり、走ることになった。

セナを前に立たせて、ヒル魔がセグウェイを操作する。
右腕を吊っている状態なのに、片手でもセナよりはるかに安定した走行だった。
セナはヒル魔の胸に背中を預けて、わ〜すごいと笑う。
結構スピード出るんですね。ヒル魔さん。
誰もいない夜の校庭を奇妙なランデブーだ。
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