年下5題

□可愛いエガオ
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クリスマスボウルを終えて数日後。
泥門デビルバッツの部室では、年末最後のイベントが始まろうとしていた。
1年を締めくくるそのイベントの名は、大掃除だ。
担当場所はセナが用意したくじを引いて、決められた。
比較的楽な場所を引き当てたものの歓声や、作業が多い場所に当たったものの悲鳴。
そんなものを合図にして、今年最後の大仕事が始まった。

カジノテーブルの担当になった中坊は、内心で悪態をついていた。
最初は「当たり」だと思ったのだ。
いくら大きいとはいえ、所詮はテーブルだ。
ゴミがあれば取り去り、汚れがあれば拭き取る。
それだけでいい、楽な場所だと思ったのに。

木ではなく、布のような素材で出来たテーブル上のゴミは繊維に絡んで、取りにくい。
また何か飲み物をこぼしたようなシミや、書き物をしたときにペン先が当たったような汚れも同じだ。
ただでさえ拭き取りにくいのに、時間がたってしまったためにさらに落ちにくい。
それにルーレットの部分などの凹凸の場所には、埃が溜まってしまっていた。
球が落ちる38個のポケットをすべて綺麗にするのは、地味にめんどくさい。

中坊がこんな災難に見舞われた原因は、実は昨年度の敏腕マネージャー姉崎まもりだったりする。
マメな彼女は常に丁寧に清掃していたので、年末の大掃除まで汚れが残ることなどなかった。
だからセナもカジノテーブルの掃除がこれほど大変だとは思わず、割り当ても1人だったのだ。
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