ムサまも5題

□タバコ
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まもり姉ちゃん、僕がいなくなって嬉しい?
少年の問いに、まもりは激しく首を振った。
瀬那が死んだのだと聞かされたとき、本当に悲しかった。
嬉しいはずなどないではないか。

これでヒル魔さんを僕から奪えるって思わなかった?
少年は唇を歪めて嗤う。
まもりは一瞬だけ躊躇った。
瀬那さえいなければ、ヒル魔と生きていけるかもしれないと思った。
いや今もそう思っていて、ヒル魔を諦め切れずにいる。

まもり姉ちゃんがそう思っているのがわかったから、僕は帰ってきたんだ。
そう言われて、まもりは少年の顔をまじまじと見た。
この少年は瀬那じゃない。
栗田の寺に倒れていたあの小さな少年だ。

ヒル魔さんは永遠に僕のものなんだ。
まもり姉ちゃんにも誰にも渡さないよ。
少年は真っ直ぐにまもりを見据えて、宣言した。
どうして、どうして。
まもりは少年が発する威圧感に、叫び声を上げた。
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