赤羽隼人5題

□「君のための旋律を、そう…愛という名の曲を捧げるよ」
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真っ暗な道をセナは走っていた。
画面に表示される「赤羽隼人」の名前。
電話から響く笑い袋の壊れた笑い声。
そして捕らえようとして追いかけてくる人影。
伸びてくる腕に捕らえられて、締め上げるように抱き取られた。

「糞チビ!おい。」
セナは身体を揺さぶられて目を開けた。
全身ビッショリと冷たい汗をかいている。心臓の鼓動が痛いほど早く苦しい。
「夢。。。」
セナは見知らぬ部屋でベットに横になっていた。
うなされていたようだ。
ヒル魔が横に座り、心配そうな表情でセナを見つめていた。

「ヒル魔。。。さん。。。?」
「まだ寝とけ。水飲むか?その前に汗拭け」
ヒル魔はセナの答えも聞かずにタオルを放ってよこした。
「僕、どうしたんですか?」
「テメーは部室で倒れたんだ。だから俺ん家に連れてきた。」
そうだった。
進の話を聞いて、その後メールを受けた後から記憶がない。

「進さん!進さんは無事ですか?」
「今病院だ。多分手術中だろう。命に別状はないが軽症ではないらしい。」
ヒル魔は諦めたような口調で言った。
進のことはどうやら聞かせたくなかったようだ。
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