Princess Oath

□路地と子供達
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翌朝、朝食の席に着いた優音の顔は、げっそりと疲れているようだった。

それもそのはず。

あの後、優音は随分と離れた自室に戻るために、全力で麗音から逃げ切ったのだ。

しかし、そう簡単に麗音は優音を逃がしてはくれないらしく、いろいろと魔法トラップを仕掛けてきたのだ。

そう、いろいろと。

魔法が使えない優音にとってはそれはもう一苦労で、自室に無事逃げ帰れたはいいが、
体力をほぼ全て使い切ったのか、ベッドにあともう少しというところで力尽きてしまったのである。

床で寝てしまったせいか、起きた優音の体の節々が悲鳴を上げて、今の状態に至る。


「不公平だわ、絶対!」


そのせいで今朝の優音は少しご機嫌斜めである。


「体力vs魔力なんてッ!魔力が勝つに決まってるじゃない!」


そんな優音の姿に、晃夜は苦笑しながら言う。


「まぁ、あそこでコソコソ盗み聞きしていた姫様も姫様ですよ」


すると優音は晃夜の方を見ながら言い返す。


「盗み聞きじゃないわよ、晃夜。アレは『立ち聞き』よ」

「・・・そうですか?」

「そうよ!」


そう言い切った優音は、「いただきます」と言って朝食を取り始めた。

やれやれといった感じで苦笑しながら、晃夜も朝食を取り始めた。










朝食を食べ終えた優音と晃夜。

晃夜が自分の少し前を歩いている優音に話しかけた。


「姫様、今日の予定は「却下」……まだ何も言ってませんが…」

「どうせ魔法の勉強でしょ?勉強なんてムリ無理」


片手を振って否定する優音。


「それに、調べなきゃならないコトもあるし…」

「調べなきゃならないコト?」

「そッ!」


そう言って、くるっと振り返った優音。

その顔には満面の笑みが。

はっと気付いた晃夜だが、時既に遅し。

優音は猛ダッシュで走っていった。


「Σあッ!!姫!?」


晃夜が言葉を発した頃には、もう優音の姿は見えなくなっていた。


「……速い……;」


その運動神経をもっと違うコトに活かせないだろうかと、ついつい思ってしまう晃夜である。


「(でもまぁ、今頃あそこにはアレが完成しているだろうし…)」


そう確信した晃夜は、優音が向かったであろう目的地を目指して駆けて行った。
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