Princess Oath

□対峙
1ページ/11ページ



「最近の子供は小刀を隠し持っているのか?」




斬撃を繰り出すザイ。

優音はザイの剣を短剣で受け止める。

キキキと刃と刃が擦れ合う音を聞きながら、優音は力負けしないように腕と脚に力を入れた。




「物騒だな」

「護身用です」




ザイの言葉に優音は軽く笑ってそう返した。


一方、晃夜は物陰に隠れている華のコトを考えながらジンの攻撃をかわしていた。




「(っ、マズイな。華ちゃんをどこか安全なところに)」

「オラオラ、反撃してみろよ!」

「くっ」




ジンは晃夜に反撃させる間を与えないほど素早かった。
防戦一方の晃夜。
すると晃夜は近くに花壇を見つけた。

晃夜はその花壇の所まで移動し、追いかけてきたジンに向かって土を撒いた。




「!?」




ジンは晃夜の反撃をもろにくらってしまった。
どうやらこの手の反撃は予想外だったらしい。
ジンは目に入った土を落とそうとして立ち止ってしまう。

そのうちに晃夜は華を素早く抱え、違う物陰に隠れた。




「いいかい? キミはここから逃げるんだ」




華の肩に手を置きながら、晃夜は華に言った。




「中央広場に避難所がある。キミのお兄さん達もそこにいる。
 お姉さんとお兄さんで奴等の注意をそらしている今のうちに逃げるんだ」




晃夜が言い終わると、華はジンの方を向く。

その目が何を見ているのか察しがついた晃夜は、華の手をとり安心させるように言った。





「大丈夫、ぬいぐるみは必ず取り返すから」

「わかった」




晃夜は華の頭を優しくぽんと叩くと、華は中央広場に向かって走り出した。

華が無事に広場に辿り着けること祈りながら、晃夜は物陰から出ていく。

丁度、ジンが目から土を追い出し終わったようだ。




「っの野郎、眼つぶしなんかしやがって」

「眼つぶしも立派な戦法です」




だいぶと痛かったのだろう。
涙目になりながらまだ目をこすっているジン。

そんな彼に晃夜は堂々と言い切った。




「ハッ、笑わせるぜ」




ジンはそう言うと剣を持ち直す。
晃夜も剣を構えなおした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ