Princess Oath

□対峙
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ザイからの攻撃をかわし続ける優音。

隙あらば体術をくらわすが、全てかわされてしまう。

地面に降り立った優音に、ザイは問いかける。




「…何故、魔法を使わない?」

「それを言うならあなたもでしょ?」




剣術ばかり。

自分はともかく、相手は魔法を使えるはず。

しかし、剣術ばかりで魔法を使う様子すらない。





「愚問だな」




優音の言葉にザイは口端を釣り上げた。




「小娘1人に使う魔法は持ち合わせていない」

「あっそう」




ザイの答えに険を含める優音。

どいつもこいつも、小娘小娘うるさいのよ!

ふつふつと怒りがこみ上げてくる優音。




「要するに、たいした魔法は使えないってことね。――そんな奴には体術で十分よ!」

「『使えない』だと? 違うな、小娘」




そう言うとザイが優音との間合いを一気に詰めた。

振り上げられた剣を、同じく剣で受け止める優音。




「貴様が『魔法は使えない』のだろう?」

「!?」

「図星か」




一瞬の動揺が優音に隙を作ってしまった。

ザイがその隙を見逃すはずもなく、受け止められた剣を振り上げる。

衝撃で吹き飛ばされるも、受け身をとって地に降りる優音。



「勘違いするな、小娘。私の実力はこんなものではない」

「!?」

「格の違いというものを見せてやろうか?」




優音は言葉も出ない。





「ザイ!ほらよっ」




話を聞いていたのか、ジンが手に持っていた物をザイに投げて渡す。




「容れ物にはピッタシだろ?」

「・・・・・・」

「ぅおっと!」




投げ渡された物を無言で見詰めるザイ。
ジンはというと、晃夜の斬撃をギリギリで回避した。

優音はザイの手に渡った物を見てハッとした。




「それは華ちゃんのぬいぐるみ!」

「何をするつもりだ!?」




晃夜の問いにジンはニヤリと口端を上げる。




「・・・さぁ?」




明らかに笑っているジン。

ぬいぐるみを見つめていたザイは、自分の剣を天に向ける。




「《我が名において命ず。闇より生まれし魂よ、汝の力を我に捧げよ》」




ザイが呪文を言い終えると同時に、彼の剣が青黒く光り出した。
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