作品置き場2

□Kあの時に見た君の姿を
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血に染まり倒れ伏す体。

見開かれた虚ろな困惑の瞳。

眼鏡の先に在る冷酷な瞳、残酷な微笑。

今でもあの日の惨劇を夢に見る。

あの時の君の姿が忘れられない。





あの時見た君の姿を









「…!」


机から身体を起こせば、そこはいつも通りの執務室だった。
どうやら寝不足が溜まり仕事中にも関わらず、本格的に寝入ってしまったらしい。夕日が差し込む。

副官の姿は無かった。
自分の仕事は済ませていったらしい。
残った書類の数は僅かだ。
目の前に『お先に失礼します。お疲れさまでした。 松本』と書かれた置き手紙がある。
松本は永い永い藍染と破面との闘いを終えてから、笑わなくなった。大切な幼馴染みを失ったからだ。
辛さを紛らわすかのように十番隊副隊長としての仕事を真っ当する。
そんな姿、見ていて居たたまれない気持ちになる。
がさつでサボリ好きな彼女はどこに行ったのだろう。遥か、昔のことだ。


(松本、ごめん)


守ってやれなかった、大切な部下の心。


失った物は、大きすぎた。


心に決して癒えることない傷を負ったのは松本だけではない。


終戦した今尚、多くの死神達はあの時代に惑い抜け出せぬまま。

(藍染…隊長…)


藍染が死んだ。
その事実に絶望したのは雛森桃ただ一人だった。
雛森は反逆者に同情する者など異常だと罵られた。日番谷は彼女をどれだけ心身共に支えたことか。
永いこと塞ぎ込みだった彼女も、次第に生きる力を見出し、平和であった頃と同じような幸せそうな笑顔を取り戻している。


日番谷は、彼女を愛している。
その切ない想いを告げることは、有り得ないと決めつけているけれど。




―――コンコン



「五番隊副隊長、雛森です」

「入れ、」

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