作品置き場2
□Lこの想いが恋だなんて
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「もうすぐ、…高校卒業だよね」
いいな、と聞こえぬ声で呟くも、それはしっかり日番谷の耳へと届いていた。
桃は、本来学校に通っていれば、日番谷とは同級生。
もしかしたら同じ学校に行っていたかもしれない。
クラスメートだったかもしれない。
日番谷と出会って、桃は生きたいと願った。
初めて願った。
けれど、日番谷といると醜い感情が押し寄せてくる。
無愛想だけれど、優しく笑う日番谷に嫉妬さえしてしまう。
健康な体。
未来があるその瞳に。
「春休みは、毎日来れるから」
受験も終わって、合格したから自由なんだ。
そう答える日番谷に怒りさえ覚える。
母は毎日父と口論をしていた。
ヒステリックを起こした母は自殺未遂さえした。
耐え兼ねた父は、母に離婚届けを渡したまま家を出た。
生きることさえ息苦しい…
毎日のように泣く母を、置いてどうかこの命、尽きてはくれないのだろうか―…
「…日番谷くん…もう、此処には来ないで」
私と日番谷くんは生きる場所が違うんだよ。そう言葉を濁す桃に日番谷は眉間の皺を深く刻んだ。
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