作品置き場2
□Mだから、今は傍にいさせて
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あたしの彼氏はすごい肩書きを持っています。史上最年少、天才児、十番隊隊長。名前は日番谷冬獅郎。
あたしはそんな彼が自慢です。彼のことをみんながすごいと認めてくれるのが嬉しいし、誇らしいとも思います。
けれど、時々それを寂しく感じてしまうことがあるのです。
だから、今は傍にいさせて
「日番谷くん、今ちょっといい?」
執務室の中を覗くと、いつも通り乱菊さんは机にいなくて、日番谷くんがひとりで書類に向かっていた。
「ん、雛森か、どうした?」
「あのね、次の非番っていつ頃とれそう?」
「非番?」
眉をしかめた日番谷くんにあたしは頷いた。
「うん、もうずっと一緒にお休み取ってないし、合わせられるなら一緒にしたいと思って」
「そうは言ってもなあ・・・俺の方はいつ取れるか見当もつかねえな」
たてこんでんだ、と日番谷くんはまだ一山は残っている書類を指差した。
「そっ、か・・・」
なんとなく予想していた答えなのに、あたしは落ち込んでしまった。
分かってるのに。彼が忙しいって分かってるのに。それでも一緒にいてほしいって思っちゃうよ。
「・・・雛森?どうした?」
「ううん、なんでもない。あたし、帰るね。お仕事の邪魔してごめんなさい」
「あ、おい!」
ぺこっと頭を下げて、執務室を飛び出す。
なるべく早く、日番谷くんの前から逃げようと思った。
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