作品置き場
□永遠の片想い
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彼は彼女の側に。
彼女は彼の側に。
それは絶対的で、まるで科学者が見つけ出した揺るがぬ法則。
それが過去のことにならぬよう、繋ぎとめてください。
揺れる
崩れる
彼の背丈は見上げる程。
彼女の髪は流れる程。
彼の物腰は凛として。
彼女の微笑みは安らぐ優しさ。
時が流れる度、お互いの心は離れていく。
「隊長、雛森が怪我したんですって」
「そうか」
「そうか、って…。行かないんですか四番隊」
「任務に怪我は付き物だろ」
「…」
彼の手はよどみなく動き続ける。
彼と、彼の副官の執務室にはさらさらという筆の音だけが奇妙に響いた。
「変な人」
悪態を突いても眉一つ動かさない彼に乱菊は腹を立てた。
金髪を乱暴に振り乱し、部屋を出ようと立ち上がる。
「おい、何処に行く」
「八番隊に書類届けてきます!」
三時間は戻らないな、と思ったけれど、彼は止めなかった。
一人に、なりたかった。