作品置き場

□空を見上げて
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 《空を見上げて》






「日番谷くん!帰ろ♪」


 サッカー部の部室から出てきた日番谷を見つけ、雛森は声をかける。
 雛森を見つけると、日番谷は「悪い、遅くなって」と駆け寄ってきた。

「ううん、少ししか待ってないから」
「そか。じゃ、雛森・・・」

 そう真っ赤になりながら雛森に手を差し出す日番谷。
 雛森も、真っ赤にありながらも日番谷の手を握る。

「じゃ、帰るか////」
「うん///」



 2人は護廷高校1年生で、家が近く、親同士も仲が良く、幼稚園時代からの幼馴染だ。
 いつでも側に居たからか、最初、雛森は自分の気持ちに全く気づかなかった。
 自分の気持ちに気づいたのは高校1年に成り立ての頃。
 背も伸び、カッコ良くなった日番谷は、当然のことながらモテていて、気がついたらずっと見ていたし、他の女の子としゃべっていると何か変に胸騒ぎがして。
 そして気づいた。これは、『恋』なんだと。

 
 好きだと気づいても、中々言い出すことは出来なかった。
 この関係が崩れて、しゃべってもらえなくなってしまわないか・・・そう不安で一杯で。
 別に、このままでもいいと思ったりもした。
 一緒にしゃべったり、遊んだり出きるだけで・・・・・



 そして今から2ヶ月前だ。
 日番谷にメールで放課後に話があると呼び出されたのは。
 皆が居なくなった教室で、日番谷は言った。



「ずっと、好きだった」と。




 始めは信じられなくて、何も言えなくて、でも、とても嬉しかった。
 返事は、決まっていた。



「はい」と。





 それから、ずっと付き合っているのだった。







「日番谷くんさ、サッカー上手になったよね〜」
「そうか?」
「そうだよ。皆言ってるし。私、ずっと見てきたもん」
「お前は、よくそんな恥ずかしいことを普通に言えるよな・・」

 日番谷が片手で顔をおさえながら言う。指の間からは、真っ赤になった日番谷の顔が覗く。

「だって、その通りだもん。ねぇ、今度いつ出かけられる?」
「そうだなー試合もあるし・・・ちょっとしばらくは無理かもしんねぇ・・・悪い・・・」

 別に大丈夫だよ!と、雛森は両手を顔の前でブンブンさせる。

「日番谷くんの夢だもん。私、応援したいし」
「見に来てくれるか?」
「勿論!」

 そんな話をしている間に、雛森の家の前に着いた。
 もっと、家が遠かったらな・・・雛森はいつもそう思う。遠かったら、ずっと話していられるのに。

「それじゃあね!」
「じゃ・・と・・雛森・・・」

 中に入ろうと柵に手をかけた時に日番谷に呼ばれ、雛森はくるっと振り返る。
 振り返った先にあったのは・・日番谷の顔。


 優しいキス。


 数秒後、日番谷は唇を離し、「じゃな」と自分の家にと走っていく。
 雛森はしばらくその後姿を真っ赤な顔で眺めていた。

「不意打ちは反則だよぉ・・・////」









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